会社設立時に気を付けなければならないのが役員の任期です。
あなたが一人だけで会社をやっていくなら任期は最長の10年で全く問題ありません。
気を付けなければならないのは家族以外の仲間と一緒に会社を立ち上げる場合です。
役員の任期の設定の仕方によっては数千万の損害が生じるおそれがあるのを知っていましたか?
会社設立時の役員の任期の決め方のポイントについて書きたいと思います。
2人以上の会社経営は必ずもめる
あなたとどんなに親しい友人でも会社を始めても、ほとんどがもめて別れることになります。
起業する人は仕事には妥協しませんし、お金が絡んでくるので非常にトラブルになりやすいです。
友人と会社をつくるのは止めた方がいいという先輩経営者も多いでしょう。
ただスタートアップ時に仲間がいた方が成長が早いことも確かですし、仲間と始めてはいけないわけではないですね。
1990年代に実施された調査で、2人以上のチームで創業した会社は、創業者が1人だけの会社よりも成功しやすいという傾向が示されています。
大事なことは来たるべき別れの時のためにきちんと会社の設計をしておくことです。
それには役員の任期も非常に大事になります。
役員の任期を長く設定するとそれだけ損害賠償のリスクが高まる
役員には任期があります。つまり会社はこの期間の間は役員をしてくださいという契約を結んでいるわけです。
意見が合わなくて会社から役員を追い出す場合には、会社側はこの契約を破ることになります。
会社法には以下のような規定があります。
会社法第339条
1 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
正当な理由というのは、横領や背任などの行為、病気の療養などで認められることがありますが、単に意見があわないという理由だけでは難しいでしょう。
そして賠償すべき損害の範囲について大阪高裁の判決では、
取締役が解任されなければ在任中及び任期満了時に得られた利益の額である。
とされています。
例えば、任期を10年に決めて、1年目にもめて仲間に会社を出て行ってもらうとします。
すると残り9年分の取締役としての報酬を会社に請求されてしまうことになります。
だから友人と起業する場合には、役員の任期を10年に設定するのはかなりリスクの高い行為なんです。
役員の任期は何年がいいのか
それでは、役員の任期はどう決めればいいか?
私がおすすめしているのは、まずは「2年」です。
一定の短い期間で会社をまずやってみるんです。
役員の任期は株式の配分さえ間違わなければ簡単に変更できます。
2年様子を見てから、2年を継続するのか、4年に伸ばすのか、はたまた10年に設定するのかは、あなたの自由です。
役員変更は自分で書類を作って登記申請をすれば登録免許税という税金1万円(資本金が1億を超える場合は3万円)で済みます。
たいした出費じゃありません。
実際は2年ごとに変えても大した手間ではないんです。
まとめ
役員の任期を安易に決めることの怖さが分かってもらえたと思います。
法務局のひな形では任期10年になっていますので気を付けてください。
あなたがこうした会社設立時に潜むリスクを知りたい場合は設立の時から専門家に相談しましょう。
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