忘れると面倒なことに!会社設立後に届出が必要な税金関係の書類について

会社の設立が終わると一安心してつい届出書類の提出を忘れがちになります。しかし、会社は設立してからかなりの数の書類を役所へ届出なくてはなりません。

今回は税務署や都道府県税事務所、市長村に届け出る税金関係の書類について書こうと思います。

 

税金関係の書類を届け出る役所は、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3つ

会社を作ると色々な税金がかかってきます。会社の所得に対しては法人税・消費税・事業税を納めなければなりませんし、会社の存在そのものに住民税がかかります。この税金を納めるために必要になるのが会社設立の届出です。

税金は大まかに分けると税務署に納める「国税」と各自治体に納める「地方税」に分かれます。
上記の例でいくと

国税 - 法人税、消費税
地方税 - 事業税、住民税

となります。

国税は税務署に納め、地方税は都道府県税事務所と市区町村役場に納めるため原則3つの役場に届出をすることになります。

 

届出が必要な書類は6種類

届出が必要な書類は最大6種類です。多額の設備投資をした場合には「消費税課税事業者選択届出書」を提出した方がいい場合がありますが通常は必要ありません。

以下がその書類です。

  1. 法人設立届出書
  2. 青色申告の承認申請書
  3. 給与支払事務所等の開設届出書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  5. 棚卸資産の評価方法の届出書
  6. 減価償却資産の償却方法の届出書

これらの書類は近くの税務署に行くと会社設立の届出書類がセットになったものが置いてありますし、インターネットでダウンロードすることもできます。税務署に取りに行って書類の説明を簡単にしてもらうのもいいでしょう。

 

①法人設立届出書

法人設立届出書は会社が設立されたことを税務署に届け出る書類です。これを届け出ることで税務署から税務申告書などの税金関係の書類が送られてくるようになります。

税務署所定の用紙に必要事項を書き込んで以下の添付書類とともに提出します。

  • 定款のコピー
  • 会社の登記事項証明書
  • 株主名簿
  • 設立時の貸借対照表

株主名簿や設立時の貸借対照表などは単純なことが多いので簡単な記述で大丈夫です。特に様式は決まっていないので自分で作ってしまいましょう。

提出期限は会社設立から2カ月以内となってますので、許認可申請などがない場合には他の書類とともに早めにだしてしまった方がすっきりします。

 

②青色申告の承認申請書

会社の営業で利益を出したら国に法人税を納めることになります。法人税は自分で計算して申告書にまとめ税務署に提出します。今はソフトがあるので結構簡単に法人税の申告書が作れるようになっています。慣れていない方は税理士にお願いするのもいいでしょう。

法人税の申告には、「白色申告」と「青色申告」があり、青色申告の方が税務上のメリットが大きいのでほとんどの会社は青色申告を選択しています。

「青色申告の承認申請書」を税務署に提出していない場合自動的に白色申告になってしまいますのでこの書類は必ず出しておきましょう。

提出期限は「会社を設立してから3か月以内」又は「最初の事業年度末日」のいずれか早い日にちまでですが、何度も税務署に行くのも手間なので法人設立届出書を一緒に出してしましましょう。

 

③給与支払事務所当の開設届出書

この書類を提出するのが必要な場合は、役員や従業員に給与などの支払いを行う会社の時です。

1人での起業の場合は役員報酬の支払いは数カ月後や1年後などになりますので急いで出す必要はありません。逆に、会社設立時に従業員がいる場合には必ず提出してください。

会社は給与や報酬などを支払う場合、それらの総額から所得税をいったん預かり、支払い月の翌月10日に税務署に納付することになります。そのような事務手続きを行うことを税務署に通知するのがこの書類の役目です。

提出期限は給与支払事務所となってから1カ月以内です。

書類の名前から労働基準監督局に出す書類と勘違いしてしまう方も多いので気を付けて下さい。

 

④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与や報酬を支払う時、原則として会社は給与などから源泉所得税を天引きしていったん預かり、給与受給者に変わって翌月の10日までに毎月納付しなければなりません。

毎月源泉所得税を払うのは面倒な場合に6カ月に1回まとめて払えばよいことの特例があります。この特例を認めてもらうのに必要な書類が④の書類です。

ただし給与を支払う従業員が常時10人未満の会社でしか特例は受けられないので、10人以上の会社は提出する必要はありません。

提出期限は特になく、いつ出してもいい書類です。

 

⑤棚卸資産の評価方法の届出書

1期目の営業を終えて、商品、製品、原材料が売れ残った場合は一定の評価方法で換算し、当期の費用としないで当期に売り上げた分を計算しなくてはなりません。
この売れ残りの商品を評価方法を指定するのが「棚卸資産の評価方法の届出書」です。

専門家でない限りあまり影響する部分ではないので、この書類は特に提出する必要はありません。提出しなかった場合には一番簡単な評価方法である「最終仕入原価法」が適用されます。

会計に詳しくどうしても評価方法にこだわりがある方のみ提出してもらう書類になります。

提出期限は設立1期の確定申告書の提出期限までとなっています。

 

⑥減価償却資産の償却方法の届出書

会社で10万円以上のパソコンや自動車などを買った場合には一括して経費として処理をすることができません。いったん資産として計上し、毎年少しずつ価値が下がった分を経費として処理をしていきます。この手続きを「減価償却」といいます。

この資産の価値の下がり方には「定額法」と「定率法」の2つの計算方法があります。どちらを選択するかを税務署に申告する書類が「減価償却資産の償却方法の届出書」です。

届出をしなかった場合自動的に「定率法」になるので特に届出をする必要のない書類です。
⑤の書類と同様どうしても会計にこだわりがある場合にはこの書類を作成してください。

 

会社のタイプ別の書類提出方法

設立した会社のタイプによって税務署への提出書類が変わってきます。
会社のタイプ別に必要書類をまとめてみたので参考にしてみて下さい。

 

一人で会社を設立し、役員報酬をはじめからはもらわない場合

[必要書類]
  1. 法人設立届出書
  2. 青色申告の承認申請書

 

[提出先] 税務署 ー ①②
都道府県税事務所 ー ①
市区町村役場 - ①

 

会社で人を雇う場合又は役員報酬を最初から支払う場合

[必要書類]
  1. 法人設立届出書
  2. 青色申告の承認申請書
  3. 給与支払事務所等の開設届出書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

 

[提出先]

税務署 - ①②③④
都道府県税事務所 - ①
市区町村役場 - ①

会計に精通していて、棚卸資産の評価方法や減価償却にこだわりのある方は任意で税務署に「棚卸資産の評価方法の届出書」と「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出してください。

 

まとめ

会社設立後税金に関係する書類を出し忘れると青色申告の控除が受けられなかったり、税務署から申告書が送られてこなかったりと色々不利益を被ることになるので会社を設立したらしっかり書類の届出は行うようにしましょう。




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ABOUTこの記事をかいた人

1980年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、研究所研究員、プロギタリストを経て司法書士・行政書士として神奈川県内で「司法書士・行政書士事務所 ローライト湘南」を運営。専門は法人設立、融資サポート、営業許可申請。「100年続く会社づくり」を目標に経営者とともに悩み、企業の問題解決に取り組んでいます。