取締役には未成年でもなることができます。
ただし未成年者は民法上「制限行為能力者」といって単独で有効な取引を行うことができません。
そこで未成年が取締役に就任するためには特別な手続きが必要となります。
未成年を取締役とするための手続について解説したいと思います。
未成年が取締役になるために必要なもの
意思能力
未成年者は取締役になれるといっても赤ちゃんが取締役になることはできません。
取締役となるためには「意思能力」が必要です。
意思能力とは有効に意思表示をする能力のことをいい具体的には自己の行為の結果を弁識するに足りる能力のことをいいます。
ですので一般的に意思能力がないとみなされる10歳未満であると取締役に就任することはできないです。
印鑑登録
取締役に就任するためには印鑑証明書の提出が必要になります。
印鑑証明書を発行してもらう前提として市区町村役場に対して印鑑登録を行います。
この印鑑登録は一般的に15歳未満だとすることができません。
ですので取締役として就任するためには15歳以上であることが必要になってきます。
ただし、取締役会設置会社で代表取締役以外の取締役に就任する場合には印鑑証明書の添付が不要になる場合が
あります。
この場合でも取締役としての能力や、責任能力、対外的な信用を考えて最低でも15歳以上であることは必要でしょう。
未成年が取締役になるために必要な特別な手続き
未成年者は単独で有効に就任承諾をすることができません。
未成年者が
「私は取締役になることを承諾します」
と文書を作成してもその文書のみでは有効な文書とはなりません。
まだ判断が未熟な未成年者の行為を民法が保護しているためですね。
そこで必要となるのが
法定代理人の同意書です。
注意しなければならないのは必ずしも両親が法定代理人となるわけではないことです。
未成年の法定代理人には
- 親権者
- 未成年後見人
の2パターンがあります。
親権者とは文字通り親権を持つもので基本的には両親が共同で行使します。
この場合は未成年者の両親の同意書を作成する必要があります。
ただし、両親が会社設立の登記申請をする場合には同意書が不要となります。
申請する時点で同意をしていることになるからですね。
また両親が離婚をしている場合、親権のない親は法定代理人ではないので親権のある親のみの同意書で足ります。
もう一つは未成年後見人がついている場合です。
こちらは様々な理由で親権者となるべきものがいない場合に選任されます。
この場合はたとえ両親が健在であっても未成年後見人の同意書をもらわなければなりません。
まとめ
未成年者が取締役となるためには
- 意思能力を備えていること
- 印鑑証明書が発行されること
- 法定代理人の同意を得ること
が必要となります。
この条件さえクリアできれば株式会社の役員となることも可能になります。
法人は個人事業主よりも厳格な手続きが求められますが、それほど未成年者が会社の経営に参加することは難しくありません。
若い感性を生かしたい会社は未成年者を役員にしてみるのもいいですね。