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公告をする方法は「官報」がおすすめの理由

会社が一定の行為をする場合において、株主、債権者等にお知らせをする方法が公告をする方法です。

公告をする方法は「官報」又は「電子公告」にしている会社が多いと思いますが、私の事務所では官報をおすすめしています。

今回は官報公告をおすすめする理由について書いてみたいと思います。

 

会社において公告する方法は3種類あります

会社が一定の重要な行為(決算、株式併合、合併等)をする場合、会社法上「公告」をすることが定められています。会社の持ち主である株主やお金を貸してもらっている債権者に黙って勝手なことを会社がしないよう定められている規定です。

公告をする方法には以下の3種類があります。

  1. 官報に掲載
  2. 日刊新聞紙に掲載
  3. 電子公告

原則どれを選ぶかは自由ですが「日刊新聞紙に掲載」する方法はおすすめしません。
費用が圧倒的に高くなるからです。

1回の公告で50万円以上かかることになるでしょう。

ほとんどの会社は「官報」か「電子公告」を選択することになります。

 

「電子公告」は無料ではないので「官報」の方がいい

実務的には多くの会社が「官報」を選択しています。

「電子公告」はウェブサイトにアップすればいいので無料かと思えるのですが、決算公告以外で「電子公告」をした場合には電子公告調査会社の調査が必要になります。この費用が官報公告をした時より高いことが多いです。

例えば帝国データバンクに電子公告の調査を依頼した時の公告1件あたりの費用が以下の表です。

公告期間利用料金
21日未満7万円
21日以上3か月未満13万円
3か月以上15万円

官報の場合ですと同じ内容で3万円ほどすむ場合があるので費用面では「官報」がおすすめです。

 

「電子公告」はメリットもある、しかし「官報公告」も同様のメリットを享受できる

 

1.決算公告費用がかからない

電子公告にもメリットはあります。
一番大きなメリットは決算公告の費用がかからないということでしょう。

決算公告に関しては電子公告調査会社の調査は不要なので料金がかかりません。この点で公告する方法を「電子公告」にしている会社もあります。

官報公告の場合は約6万円かかりますが、実際に日本の中小企業の多くは官報による決算公告を行っていません。本来過料を請求されるはずなのですが、そういった事例もありません。その点で会社側は決算公告に関して費用面でのメリットを感じてはいないと思います。

きちんと公告をしたいという会社は、決算の官報公告に代えて貸借対照表の内容をインターネット上にアップして、5年間継続して不特定多数が見れる状態にしておけば決算公告を省略することができます。(会社法第440第3項)

上記の場合には貸借対照表をアップするウェブサイトのアドレスを「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」として登記する必要があります。コンプライアンス意識の高い会社は別に定めて登記しておきましょう。

 

2.債権者全員の催告を省略できる場合がある

会社の運営において債権者を守るために債権者全員への個別の連絡が求められる行為があります。

合併などの組織再編や株式会社から持ち分会社に移行する組織変更、資本金の額を減らす減資等においては、「官報公告」+「債権者に対する個別の催告」が必要になります。

この時に公告をする方法が電子公告の場合には、
「官報公告」+「電子公告」で債権者への催告を省略できる場合があります。

これもメリットといえばメリットですが、その時に公告をする方法を変更すればよいので特に問題にはなりません。

以上のようなメリットがあるといえばありますが、総合的に見て官報公告にしておいた方が得になるので私の事務所では「官報公告」をおすすめしています。

 

まとめ

公告をする方法については主に費用面で選択することになります。ただ、一流企業のステータスとして日経新聞に公告を載せることを希望する経営者の方や、ペーパーレスにしたいので電子公告という経営者の方もいらっしゃいます。

費用面で特に気にしないのであればどれを選んでもいいと思います。

たしかに日経新聞への公告はかっこいいので憧れますね。